書類に、ただ「認知症」とだけ書かれていることがあります。
私は医師でも専門家でもありません。 ただ、特別養護老人ホームで15年間、利用者様やご家族様と関わらせていただいた中での経験をもとにお話しさせていただきます。
施設の書類に「認知症」とだけ書かれていることがあります
新しく利用者様をお迎えするとき、既往歴を確認します。
そこに「認知症」とだけ記載されていることが、実はよくあります。
種類までは書かれていない。 ということは、ご家族様もご存じないことが多いのだと思います。
でも、認知症には種類があります。 そして種類によって、症状も、対応の仕方も変わってきます。
最初は「アルツハイマー型」と診断されることが多い
認知症の中でいちばん多いのがアルツハイマー型です。
そのため、最初はアルツハイマー型として診断されることが多くあります。
これは間違いということではありません。 診断の時点で分かる情報から判断されているからです。
ただ、日々関わっていく中で、 「あれ? この方は少し違うかもしれない」 と感じることがあります。
私が「あれ?」と思ったきっかけ
意外に思われるかもしれませんが、 最初に気づくのは物忘れの様子ではないことがあります。
私が気づいたのは、体の動きでした。
- 歩幅が小刻みになってきた
- 腕に少しこわばり(拘縮)が見られる
こうした動きは、レビー小体型認知症に見られるパーキンソン症状のひとつです。
ご家族様からすると、 「年齢のせいで足腰が弱ってきたのかな」 と思われるかもしれません。
でも、認知症の種類を知るヒントになることがあります。
怒りっぽさにも、種類によって違いがあります
「最近、怒りっぽくなった」
これは、ご家族様がいちばん傷つかれるところだと思います。
怒りっぽさは、レビー小体型でも前頭側頭型でも見られます。 ただ、何に反応して怒っておられるのかが違います。
前頭側頭型は、外からの刺激に敏感
- 物音に敏感
- 環境の変化に弱い
- 見慣れた場所に新しい人がいる
- 外出先で見慣れない景色がある
こうした変化で、不安や混乱が表に出やすくなります。
レビー小体型は、ご本人の内側の変化から
- 実際にはいない人や虫が見える(幻視)
- 調子の波が大きい
見えているものが不安で、それが強く出ることがあります。
同じ「怒った」でも、何を変えれば落ち着かれるのかが違ってきます。
前頭側頭型の方でしたら、環境を整える。 音を減らす、いつもの人がそばにいる、いきなり変えない。
レビー小体型の方でしたら、 今ご本人に何が見えているのか、今日はどんな調子なのかを見る。
種類が分かると、対応の方向が見えてきます。
種類が分かって、変わったこと
検査をして認知症の種類が分かると、お薬が変わることがあります。
実際に、お薬が変わってから興奮されることが減った方がいらっしゃいました。
そして、私たち職員の対応も変わりました。
何に困っておられるのか、何に敏感になっておられるのかが分かったからです。
その結果、落ち着いて生活していただけるようになりました。
気になったときは、ケアマネジャーに
「先生に言うほどのことかな」
そう思って、言えないままになることがあると思います。
まずはケアマネジャーに伝えてみてください。
日常的に関わってくださる方ですし、受診の調整もしてくださいます。 相談のハードルが、ぐっと下がると思います。
受診のときに伝えてほしいこと
診察の時間は限られています。
その中で、お医者様が知ることができる情報は、実はあまり多くありません。
だからこそ、日常を見ているご家族様にしか出せない情報が大切になります。
「最近怒りっぽくて」だけではなく、こんなところまで伝えてみてください。
- いつ怒られることが多いか(夕方が多い、朝は落ち着いている など)
- どんなときか(音がしたとき、知らない人が来たとき、お風呂のとき など)
- 誰に対してか(特定の人にだけ、みんなに)
- そのとき、ご本人は何とおっしゃっていたか
体の変化も大切です。
- 歩き方が変わっていないか
- 腕や足にこわばりが出ていないか
メモしておいて、そのまま見せていただくのでも十分だと思います。
認知症を専門に診てくださる先生だと、さらに安心です
かかりつけの先生に相談されるのはもちろんですが、 認知症を専門に診てくださる先生に一度診ていただけると、より安心できると思います。
どこに相談すればいいか分からないときも、 ケアマネジャーに聞いてみてください。
ご本人様も、辛いのです
認知症では、ご家族様もご苦労されます。
でも、ご本人様も辛いのだと思います。
一生懸命訴えているのに、何も改善されない。 不安がさらに強くなる。
利用者様もご家族様も、 認知症の種類が分かれば、 少しでも不安や辛いと思われていることが軽減されるかもしれません。
焦らず、責めず、自分を責めずで大丈夫です。
一人で抱え込まず、ケアマネジャーや施設の職員に相談してみてください。
※この記事は、私が現場で経験したことをもとに書いています。診断やお薬のことについては、必ず主治医やケアマネジャーにご相談ください。


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