面会に行けなくて、申し訳ないと思っているあなたへ

面会のお悩み

「なかなか来れなくて、すみません」

面会にいらしたご家族様が、職員に向けてよくおっしゃる言葉です。

玄関で記帳をされながら、申し訳なさそうに、そうおっしゃるのです。

でも私たちは、来てくださって嬉しいんです。

利用者様も喜ばれます。ご家族様の顔を見れば、必ず笑顔になられます。

面会になかなか来られない自分を責めていらっしゃるように感じるご家族様を、たくさん見てきました。

でも、「やっと来れたよ」と笑顔で、遠慮なく来ていただきたいです。

来られない事情は、本当にいろいろあります

遠方に住んでいる。

仕事がある。面会時間は日中だけで、その時間に休みが取れない。

小さいお子さんがいる。ご自身の体調が良くない。

会いたい気持ちがあっても、どうにもならないことがあります。

「協力しない家族」なんて、思ったことはありません

特別養護老人ホームで15年働いてきました。

その間、面会に来られない方のことを「協力してくれない家族」だと思ったことは、一度もありません。

職員同士で、そんな話をしたこともありません。

来られない方には、ご事情があります。それは私たちには分からないことです。分からないことについて、何かを思うことはありません。

ただ、正直に言うと

ひとつだけ、正直に書きます。

ただ、困ったことはあります。

ご本人の体調が変わって、看護師の判断で受診し、そのまま入院になったとき。

ご家族様にお伝えしたくて電話をかけても、つながらないことがありました。

病院の書類の対応は、ご家族様にお願いすることになります。連絡がつかない間、こちらは待つことしかできません。

それに、入院先は施設ではありません。慣れた場所を離れて、そういうときにご家族の顔が見えないと、不安になる方が多いのです。

あのときは、どうしよう、とばかり思っていました。

責める気持ちなんてありません。

私が知らないだけで、そのご家族には過去に何かがあったのかもしれない。長い時間をかけて、そうなるだけの何かがあったのかもしれない。

それを知らない私が、何かを言える立場ではないと思っています。

会えなかった一年で、見たこと

コロナ禍で、施設の面会ができなくなりました。

一年以上、ご家族様にお会いいただけない日が続きました。

そのとき、強く感じたことがあります。

みなさん、電話を遠慮されている。

ご家族様が施設に物を届けにいらしたとき、近況をお伝えして「いつでもご連絡くださいね」とお声かけすると、こう返ってくるのです。

「電話してもいいんですか? でも、うちの母、耳が遠いから」

「認知症が進んでいて、電話で声を聞いても、誰か分かっていなかったんです」

かかってきたお電話も、ほとんどが「お忙しいところ、すみません」から始まりました。

みなさん、遠慮されていました。

ZOOMでの面会を企画しました

電話では足りない、と思いました。

やっぱり、顔が見たい。

お互いに表情が見えると、安心します。ご飯をちゃんと食べているかな、痩せていないかな──顔を見れば、ご家族様にもその様子が伝わります。

耳が遠い利用者様には、イヤホンを使っていただきました。それで、聞こえの問題はなくなりました。

認知症のある利用者様も、画面にご家族の顔が映ると、笑顔になってお話しされていました。

「分かっていないかもしれない」と思われていた方が、です。

ご家族様と過ごす時間は、ご本人にとって、それだけ特別なものなんだと思いました。

こういう現実も、あります

面会が再開したときのことを覚えています。

時間制限はありましたが、一年以上お会いできなかったのですから、三十分で話が終わるわけがありません。

話すだけでなく、ただ一緒にゆっくり過ごす時間が必要でした。だから私は、面会の時間はご家族様にお任せしていました。

嬉しい場面ばかりでは、ありませんでした。

ご家族と会えない期間が続いて、笑顔が減っていった方がいらっしゃいました。

目に覇気がなくなり、認知症の症状が進まれた方も、いらっしゃいました。

現実です。

私は、無理をしてでも面会に行ってくださいとは言いません。

ただ、こういう現実もあります。

それくらい、ご家族と会える時間は、ご本人にとって必要な時間なんです。

会いに行けなくても、できることがあります

ケアマネジャーや施設に、電話をかけて様子を聞くことができます。

ここで、ひとつお伝えしたいことがあります。

電話は、ご本人とお話しするためだけのものではありません。

耳が遠くても。声を聞いて誰か分からなくても。

「最近どうですか」と職員に聞いていただければ、私たちはお答えします。

ご飯をどれくらい召し上がっているか。よく眠れているか。この前こんなことがありましたよ、と。

そういう電話が、私たちにとってもありがたいのです。ご家族様が気にかけてくださっていることが分かると、ケアの参考にもなります。

「こんな電話していいのかしら」なんて、思わないでください

利用者様・ご家族様の笑顔や安心につながることです。

職員たちは全力でお手伝いしたい気持ちだと思います。

だから、いいんです。

かけてください。

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